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遺産調べ 名寄帳の見方

  • yamaokagj18
  • 2022年10月29日
  • 読了時間: 4分

更新日:2022年10月30日


今回は名寄帳の見方について解説します。よろしくお願いします。

相続財産に土地や建物などの不動産がある場合、見落としがないように調べるため、名寄帳という書類を取得します。


名寄帳とは?


名寄帳とは課税対象になっている土地や建物などの固定資産を所有者ごとに一覧表にしたものです。

「固定資産課税台帳」とか「土地家屋課税台帳」などと呼ぶところもありますが、どの役所でも「名寄帳」で通じます。


不動産情報が記載された書類と言えば「登記簿謄本」がありますが、登記簿謄本は1枚の書類に一つの土地の情報しか記載されていないのに対し、名寄帳は納税者が所有する全ての不動産が1枚にまとめられていますので、名寄帳の取得によって相続財産の見落としを防ぐことができます。


名寄帳の取得方法


名寄帳は役所の税務課で取得することができます。

注意点としては不動産は市町村単位で管理されていますので、複数の市町村で不動産を持っている場合は、それぞれの役所で名寄帳を取得する必要があります。

また、名寄帳に記載される内容は1月1日時点の情報です。


それ以後に不動産を取得したり売却した場合などの情報は記載されませんので、年の途中で取引をした可能性がある場合は譲渡契約書がないか調べたり、登記簿謄本を取得して名義を確認する必要があります。


そもそも亡くなった方が不動産を所有していたかどうか不明な場合は、住所地や本籍地のある役所に名寄帳の請求をしてみます。

不動産がなければ対象なしという回答がされます。

発行手数料は300円程度で、遠方の場合は郵送での請求が可能です。

相続人の方が請求する場合は亡くなった方との関係が分かる戸籍謄本などの提示を求められます。

また、請求を代理人に委任する場合は、委任状が必要です。


名寄帳の見方


それでは実際の名寄帳を見ていきましょう。

こちらは香川県三豊市が交付している名寄帳です。書類の正式名は「土地・家屋名寄帳兼課税台帳」となっています。

細かな情報が多数ありますが、今回は相続手続きで必要となる情報のみを確認していきます。


土地について


上段の土地を見ると、同市内に山林と宅地を所有していたことが分かります。

評価額は山林が85,600円、宅地は一つが5,752,544円、もう一つが1,198,837円です。

この評価額は固定資産税評価額と呼ばれるもので、遺産を分けるときには主にこの金額を用いて行います。


一方で、相続税がかかるか、かからないかを確認する場合は固定資産税評価額を相続税評価額に計算し直す必要があります。

相続税評価額を算出するためには路線価があれば路線価を、路線価がなければ倍率方式を用います。


路線価は国税庁のホームページで確認することができます。

確認するとこの地域は倍率方式を採用する地域でした。

倍率は山林が固定資産税評価額の1.3倍、宅地は1.1倍となっていますので、相続税を計算する上での金額は山林が111,280円、宅地が6,327,798円と1,318,720円であることが判ります。


家屋について


次に家屋を確認します。

家屋の欄を見ると居宅と倉庫を所有していたことが判ります。

家屋番号の欄が空白になっていますが、これは建物が未登記である場合です。登記建物であれば家屋番号が記載されています。

未登記建物であっても登記建物と同じように相続することは可能です。


ただし、将来この建物を売却したり、誰かに貸したいという場合は権利関係を明らかにするために、相続のタイミングで登記を行った方がいいでしょう。

家屋の評価は土地と違って路線価や倍率を用いることなく、固定資産税評価額がそのまま建物の評価額となります。


そのほか、名寄帳は単独名義の不動産と共有名義の不動産がある場合、別々の書類として作成している自治体があります。名寄帳を請求する際には共有名義のものも一緒に交付してもらってください。


そして、名寄帳でどのような不動産を所有していたのか明らかになった後、登記簿謄本(全部事項証明書)を法務局で取得して、登記の内容を確認します。

登記内容を確認すると、不動産によっては、何十年も前に土地を担保にしてお金を借りていたときの抵当権が残ったままだったということがあります。


抵当権は残したままでも相続できますが、売却処分を行う際にはネックとなりますので、相続人で話し合って、抵当権を抹消するなどの方針を決めないといけません。

以上、今回は名寄帳の見方について解説しました。

 
 
 

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