top of page
検索

遺産分割でもめてしまったら

  • yamaokagj18
  • 2022年10月30日
  • 読了時間: 4分

遺産分割協議

遺言書がない相続手続きでは、相続人となる人全員で遺産の分け方について話し合わなければなりません。これを遺産分割協議と言います。

話がすんなりとまとまれば良いのですが、相続は大きなお金が動くタイミングでもあり、一人一人の私情が絡んで、手続きが長期にわたることもあります。


「長男には父が生前に多額の学費を渡していたから、今回は少しは遠慮してほしい」とか、「父が足を悪くしてからは私が毎回病院へ送り迎えしていたので、その分は上乗せしてほしい」など、言い出したらきりがありません。

ただし、このような個々の主張も相続人の皆が納得して合意すれば、遺産分割協議書にまとめることができます。


遺産分割協議書


遺産分割協議書は遺産の中に不動産があるときの登記手続きや銀行預金の名義変更・解約、相続税の申告などで必要になります。

また、相続人間で後から言った、言わないというトラブルを防ぐために、契約書として合意内容を記録し、対外的には誰が何を取得するかという内容の証明書になります。

遺産分割協議書の作成にはいくつかの注意点があります。


例えば、相続人の誰にどの財産が分けられたのかということが漏れなく書かれているか、後から見落としていた財産が出てきたらどうするか、押印は実印でされているか、書かれている住所は印鑑証明書の住所と同じかなどです。

そして、通常は相続人の数と同じ部数を作成して、各自が保管するようにします。


遺産分割協議書


共同相続人である私達は、次の相続について、下記のとおり遺産分割の協議をした。


被相続人の最後の本籍 香川県三豊市○○町○○番地

最後の住所 香川県三豊市○○町○○番地

氏名 香川一郎

相続開始の日 令和4年1月10日


       記


1 相続財産中、次の不動産については、香川桜子が相続する。

所在 香川県三豊市○○町

地番 ○○番地

地目 宅地

地積 123.45㎡


2 相続財産中、次の金融資産については、香川太郎が相続する。

さぬき銀行 ○○支店 普通預金 123456


以上の協議を証するため、この協議書を作成し、各自署名押印のうえ、各1通を保有するものとする。


       令和4年2月1日


       香川県三豊市○○町○○番地

       香川桜子 ㊞


       香川県三豊市○○町○○番地

       香川太郎 ㊞


調停の申立て


遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申立てることができます。

調停とは家庭裁判所で行う話し合いです。

家事審判官と調停委員という第三者が相続人の間に入って、話を進めます。

日常生活の中でも、当事者どうしの話合いではなかなか話が前に進まないという場合に、ご意見番の意見を伺うこともしばしばありますが、調停は家庭裁判所がそのご意見番の役目をする手続きです。


調停は、家庭裁判所に調停の申立てをすることで開始します。

具体的なやり方は、調停委員が関係者から事情を聞き、その事情を踏まえて法的に正しく、社会的に妥当で、相続人が納得いく案を提示する方法が採られています。

あくまで、調停は話し合いですので調停委員から出された案に従わないといけないわけではありません。従う、従わないは本人の自由です。


1回の調停は数時間で終わり、合意ができるまで通常は何回かの期日を重ねて、お互いの合意点を探っていくことになります。ケースによると1年や2年以上の期間を要することもあります。

調停で合意がされると、その合意内容が調停調書に記載されます。この調停調書には確定した審判と同じ効力があります。

一方、調停が合意されず不成立に終わった場合は審判手続きへと移行します。


審判


審判は調停とは違って、お互いの話し合いで合意を目指すものではなく、法律の専門家である審判官が、問題となっている相続の全ての事情を考慮して、結論を出します。

審判では法律に従った分割方法が採用されるため、個々の事案に応じた柔軟な解決方法を実現することが難しくなります。


長期間争いを続けてきたにもかかわらず、お互いが満足のいく結果にならないことがあります。

例えば、法定相続分での分割を指定されたけれども、遺産がほとんど不動産しかない場合には不動産を売却しなければならず、審判によって競売にかけて売却するよう命じられることもあります。


調停をしないでいきなり審判を申立てることもできますが、裁判所からはまず調停をしてからにしなさいと言われることがあります。この場合は、調停を経てから審判となります。

そして審判官から遺産分割の審判がされると、その内容に従って遺産分割をすることができます。

なお、審判に不服がある場合は即時抗告という手続きで高等裁判所に審判取消しを求めることができます。


相続税の申告に間に合わないとき


遺産分割がまとまらず、調停や審判手続きに移行すると長期にわたるため、相続税の申告期限が過ぎてしまいます。

相続税は申告が遅れると加算税や延滞税が課されますので、このような場合にはひとまず法定相続分で分割したものとして申告期限までに申告納税を行います。


その際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して期限までに分割できない事情や分割の予定を記載します。

その後、修正申告または更生の請求を行い、本来負担すべき相続税を支払ったり、払い過ぎている場合は還付を受けます。


以上、今回は遺産分割で揉めてしまったときの手続きについて解説しました。

 
 
 

Comments


bottom of page