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戸籍による相続人調査

  • yamaokagj18
  • 2022年10月29日
  • 読了時間: 5分

更新日:2022年10月30日


相続手続きをしないまま、長年放置していると、どんどん下の世代に相続権が移って、いざ土地の名義を変えようとしたときに、面識のない人が相続人となっていることがあります。

いくら面識がないからと言っても、法律上はきちんと相続する権利を持った人です。その人を除いて、手続きを進めることはできません。


不動産の名義変更では遺産分割協議書の提出が必要になりますので、面識のない相続人にもきちんと連絡を取って、署名と捺印、印鑑証明書を取得しなければなりません。


行方の分からない相続人がいたら


では、行方の分からない相続人がいる場合、どのようにして居場所を探せばいいのでしょうか。

上記のイラストは、長男が被相続人で、三男の子と四男が相続人となっているケースです。

三男の子が相続手続きを進めていますが、四男とは面識がなく、現在どこに住んでいるか分からない状態です。

このような場合に、どのような方法で四男の現在の住所を特定すればいいのか、実際の戸籍謄本を使って見ていきましょう。


戸籍謄本の取得


第一にすべきことは被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本の取得です。

そして、取得した戸籍謄本から四男の情報を読み取っていきます。

被相続人の香川太郎さんの改製原戸籍を見ると2枚目に四男の香川一郎さんの情報が記載されています。

すると、函館に転籍して、そこで新戸籍を編製していることが判りました。

このような場合は、一郎さんの転籍先である函館市に、戸籍請求を行います。

今ではどこの役所でも郵送で戸籍の請求ができます。


戸籍の請求


戸籍を郵送で取得する際には下記のものが必要になります。

・請求書(役所のHPからダウンロードします) ・請求者の確認書類の写し(運転免許証、パスポートなど写真入りのもの) ・手数料(定額小為替を同封します) ・返信用封筒(返信先を書き、切手を貼付)


手数料の定額小為替は郵便局で購入できます。多くの自治体が戸籍謄本450円、除籍謄本750円の手数料となっていますが、送付した定額小為替に不足があった場合、再送付しなければならず、戸籍の取得に余計な日数がかかりますので、慣れないうちは多めの金額を送るようにすると良いでしょう。お釣りは定額小為替で返してくれます。


普通郵便で請求した場合は1週間前後で取得できます。(自治体によってバラツキがあります)

こうして、函館市から取得したものが、下の戸籍です。

これを見ると、四男の一郎さんは山本華子さんと結婚して函館に新戸籍を置いていたことが判ります。

そして、再び香川県三豊郡(今の三豊市)に戸籍を移しています。これでは、まだ一郎さんの住所は特定できません。三豊市で戸籍を取得しましょう。

ここから、横書きの記述となりました。

内容を確認すると、香川県三豊市が最新の本籍のようです。ただ、これだけでは、現在の住所は特定できません。

なぜなら本籍は香川県三豊市でも、住所は他になっている場合があるからです。


戸籍の附票で住所を特定


そこで、さらに取得する書類が戸籍の附票です。戸籍の附票には過去に住所変更した記録が時系列に並べられていますので、最終の住所地を特定することができます。

これが取得した戸籍の附票です。本籍は香川県ですが、現住所は名古屋市にありました。ようやく、住所が特定できたことになります。


手紙の送付


戸籍謄本や戸籍の附票を取得して相続人の最終住所が特定できたら、実際にその住所に住んでいるかどうかを確かめないといけません。

ご近所に住んでいる場合は、直接訪問できますが、遠隔地であれば難しいこともあります。また、訪問された相続人も面識のない人に、いきなり訪問されて相続の話を持ち出されても困惑してしまうかもしれません。


そこで、当事務所では、古典的ではありますが、第一段階として相続人に手紙を発送して反応を見るようにしています。

手紙は普通郵便ではなく、受け取ったことが確認できる特定記録郵便やレターパックで発送します。


相続人に発送する手紙の例


〇〇〇〇 様


突然のお手紙を失礼致します。私は○○○○と申します。

去る令和〇〇年〇〇月〇〇日に、私の夫である〇〇〇〇が満90歳で永眠致しました。

現在、相続手続きをを進めていますが、行政書士さんにもお願いして、相続人を調べてもらったところ、〇〇〇〇様にも相続権があることが判り、連絡した次第です。

相続財産は主に預貯金ですが、今は口座が凍結されて、引出しができない状態になっています。

円滑に手続きを進めるには○○○○様のご協力が必要です。

連絡先をご記入頂く用紙を同封しておりますので、ご返送くださいますようお願い申し上げます。


最初に送る手紙の目的は、調べた住所に実際に相続人が住んでいるかどうかを確認することです。


そのため手紙には、相続手続きに関する細かな説明は記載せず、①相続が開始になったこと、②調査の結果、相続人であることが判ったこと、③協力がなければ手続きが進められないことを簡潔にまとめて送付します。

そして、何らかの反応が返ってくれば、遺産分割についてなどの細かな手続きについて説明するようにします。


それでも連絡が取れないときは


しかし、残念ながら手紙を送付しても音沙汰がなく、送付した手紙も返却される場合があります。

この場合は、実際に最終住所地に訪問して、現に住んでいるかどうかを確かめるしかありません。


そして、一切、行方が分からないときは、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行うことができます。

不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得ることで、行方不明の相続人に代理して、遺産分割協議に参加することができますので、相続手続きを進めることができます。


以上、今回は戸籍を使って行方の分からない相続人を探し出す方法を解説しました。

最後までお読みいただきありがとうございました。


 
 
 

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